優れた経営は本当に成果につながっているか

 HBRが創刊90周年を迎えたいまこそ、「優れた経営手法を実践する企業ほど成功する確率が高いのか」という根源的な問いに立ち戻る好機と思われる。その答えを求めて、我々は10年がかりで調査を進めてきた。ばかげた取り組みと──つまり、答えは「イエス」に決まっているではないかと──思われるかもしれない。だが、我々は経済学者として正統な教育を受けてきた者として、長年にわたり信じられてきた前提条件を再検証し、時の試練に耐えうるかどうかを確かめる価値があると信じている。

 少なくともフレデリック・ウィンズロー・テイラーの『科学的管理法』[注1]が刊行された1911年以降、企業は定型化されたベスト・プラクティスを取り入れようと心がけてきた。そして、これまでに複雑系やコンティンジェンシー理論[注2]などの学問領域が新たに誕生し、実践面でも分権型予算編成から業績評価(人事考課)やリーン生産方式に至るまで、おびただしい数のイノベーションが生まれている。

 我々は検証可能な仮説を立てるため、何千社にも上る調査対象企業に対し、次の3つの経営手法を実践しているか否かを尋ねた。これらは一般的に、優れた経営に欠かせない要素と見なされているものである。