あらゆるものが不適応を起こしている

編集部(以下色文字):近著What Matters Now[注1]では、急速な変化を遂げる世界で、イノベーティブな企業であり続けるために、マネジメントはどう生まれ変わるべきか、また資本主義や組織、仕事の意味はどう再定義されるべきかを説いておられます。

 折しも日本では、戦後の成長を牽引してきた企業の低迷が続いています。日本企業が抱える問題の本質は、何だと見ていますか。

ハメル(以下略):我々の世界は産業経済から知識経済へ移行し、さらにそれがいま、創造的経済へ変化してしまいました。そのジレンマに、日本は直面しています。日本企業は、並外れた職業倫理や熱心な継続的カイゼンによって、自動車産業、電子産業で世界の頂点に立ってきたのですが、それが新しい創造的経済の時代に適応しなくなっているのです。