持続可能なグローバル経済とは

「環境革命」が言われるようになってほぼ30年。それは企業経営のあり方を一変させた。1960年代から70年代にかけて、企業は自分たちが環境に与える影響を直視しようとしなかった。そこへ世界の注目を集めるような環境問題が立て続けに起こり、政府による厳しい規制を求める声が高まった。アメリカではエリー湖が死滅状態となり、ヨーロッパではライン川が火災の影響で汚染された。日本では水銀中毒で亡くなる人々が現れた。

 いまや、環境を害さないのがみずからの責任であることを多くの企業が認めている。製品や生産工程はかつてよりも「クリーン」になり、そうした変化が始まったところでは環境が回復傾向にある。先進工業国では、汚染の削減と利益の拡大が両立できることが認識されるようになり、「環境重視」派の企業がますます増えている。長足の進歩である。

 しかし、30年後に90年代を振り返った時には、その進歩も小さく見えるだろう。環境重視の先には、途方もない課題が──そして途方もないチャンスが──待っているからだ。課題とは、「持続可能なグローバル経済」──すなわち、この地球が永遠に支えることのできる経済を築くことである。先進諸国では環境の回復に取り組みつつあるとしても、地球全体はまだ、このままでは持続不可能である。