環境対応が劣位では伸びない新興国市場

図1:NGO数の推移
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 新興国から退場させられる可能性に関連して面白いデータがある。国際連合経済社会理事会(ECOSOC)への世界の登録団体数だ(図1参照)。これは専門的な課題解決の知見と国際的な活動力を持っているNGOが登録対象となっており、2011年時点で約3,400団体の登録団体数に達している。その内訳を見てみると日本は19団体でしかないのに対し、アジア諸国、アフリカ、南米の登録数は日本を遥かに超えている。また草の根NGOの数に至っては、日本のNGO数が約5万なのに対し、中国は200万、インドでも300万団体を超えているのだ。この数字から日本企業が理解すべきは、新興国市場は消費者と社会課題解決者の2つの人格を持ち合わせた人々からなる市場だということだ。ゆえに、これから新興国の市場に出て行く場合、環境基準で劣る製品やサービスで、消費者を熱狂させることなど有り得ないのである。

脱日本基準の必要性

 一方、欧州は政策形成に影響力を有する緑の党が起点となり、新たな環境規制の導入や既存の規制をより厳しいものに引き上げようとするリーダーシップ機能が発揮されている。また、アメリカはカリフォルニア州が環境規制の先進州として常に高いハードルの環境規制を他州に先駆けて制定し、イノベーティブな企業の集積と開発を加速させる役割を担ってきた実績がある。そして、近年は中国やインドといった新興国も自国の企業の国際競争力を早急に高めるために、政府が敢えて先進的な環境規制を採用し、企業に健全な成長を促す動きが定着してきている。このように、海外では厳しい環境規制を導入し続けて企業のイノベーションを促進する政策ポリシーを有しているのだ。対して日本は、問題が発生した場合のみ厳しい規制を設ける環境規制政策に留まっている。ゆえに、日本企業が環境先進企業として世界市場で勝つためには、今の日本の環境基準よりも厳しい世界基準を自らに課する必要があるのだ。

戦略として取り組むべきサステナビリティ

 今後日本企業は新興国市場で欧米企業との競争が激化する。そこでは最先端の世界基準を身につけた企業間が争う場となる。つまり、グローバル化を進める日本企業は国内以上の環境基準を自ら課さなければ欧米の環境先進企業にブランドで大きく溝を開けられる可能性が高くなる。このように、グローバル化を目指す日本企業は新興国市場で成長機会を確実に捉えつつ、環境規制で劣る国内市場の競争を制する必要があるのだ。ゆえに、サステナビリティに対してどのように取り組むかを決めることは、国内と海外での成長のあり方を既定するものであり、グローバルでの製品コンセプトから利用する材料、コスト構造、サプライチェーンを選択するという意味で、まさしく“戦略”そのものとなる。

 第2回は、サステナビリティ戦略が持続的な競争優位を生むために、その中身と達成目標が大きく変化し始めていることを、グローバル企業の事例を交えて解説する。