製品の透明性に関する消費者の姿勢の変化に、対応し始めた企業もある。最近になってクロロックスとS・C・ジョンソンは、自社製品の成分を全面公開した。以前なら考えられなかったことである。長年にわたり、成分の配合は企業が所有する財産であり、極秘情報とすべきであると考えられてきた。しかし新たな透明化の時代が到来すると、情報公開に積極的な企業は評判とイメージが向上し、消極的な企業はペナルティーを科せられるようになった。
ストーニーフィールド・ヨーグルトのCEO、ゲイリー・ハーシュバーグは、ClimateCounts.orgのウェブサイトを通して透明化の新たな可能性を開拓している。これは参加企業にカーボン・フットプリントに関する説明責任を課し、地球温暖化に対する企業の取り組みを評価するものだ。ハーシュバーグは、いつの日か進歩的な企業が、第三者機関の承認を経た自社製品のLCAを発表することで、大きな競争優位を得るようになるだろうと予想している。そのような勇気ある一歩を踏み出せば、顧客にブランドの信頼性を伝える強いシグナルになるという。
このような徹底した開放性が実現するまでの道のりは、まだ長い。しかし企業の幹部は、透明化の波に乗り遅れないように、次のようなステップを実践できる。
自社の評判を積極的に探る
自社ブランドに関するネット上での評判を知る必要がある。ツイッターは、ある顧客がブランドの善し悪しについて知り合いに触れ回る、ごく一般的な手段だ。ツイッターの発言を監視して、評判に関わるつぶやきを追跡している企業も増えている。
自社の格付けをチェックする
グッドガイドやスキンディープ、ClimateCounts.orgなどのウェブサイトをチェックして、自社製品の位置付けを知る。グッドガイドの創設者、ダラ・オロークはこう述べている。「もしブランド・マネジャーが格付けを見て連絡してきたら、我々はその製品や会社がどうしてその順位なのかをきちんと説明します。賢明な企業なら、製品を改良してその旨を我々に説明するでしょうし、我々もそれに応じて評価を見直します。当社の目標は、製品改良のプラットフォームになることです」
率直に伝える
グッドガイドが格付けを行う際、成分などのデータを公開しない製品にはペナルティーを科す一方、企業から新しく検証可能な情報が寄せられれば積極的に受け入れて、製品の格付けに反映させている。
顧客コミュニティを大事にする
顧客がコメントやフィードバックを通じて企業に連絡を取るのが難しい例が非常に多く、このことが顧客の不満をつのらせている。ウェブサイトはそのような企業の防護壁を迂回する手段になっている。たとえば、GetSatisfaction.comのウェブサイトでは、顧客が特定の企業や製品に関する意見を共有することができる。これにより、不満を抱えた顧客と企業の担当者の間で交わされる非公開だった会話が、これからは誰もが閲覧可能な公の記録になる。コムキャストのように、GetSatisfaction.comでのチャットを監視して会社の代弁者として発信する担当者を設けるなど、賢明な企業も現れ始めている。
HBR.ORG原文:Winning in an Age of Radical Transparency May 7, 2009