キャリアの成功とは何だろうか。組織のなかで高いポジションを目指すことなのか、世界で通用するスキルを身につけて評価を得ることだろうか。たしかにこのようなことを目指す人もいるだろうし、それらを成し遂げた人は傍目から見れば成功者として映るだろう。しかし、キャリア形成コンサルタントの伊賀泰代氏は、異なるイメージを描いている。それは次の3つが達成された状態だという。すなわち、・自分が職業人生で達成したい使命が明確になる、・その使命の達成を自分の職業とできる、・職業人生におけるコントロールを自分で握る、である。これらを達成するためには、どのステップでもみずからの強い意思と主体的な思考や行動力が必要となる。そのためには、試行錯誤をしながら自分のやりたいことを見つけていく継続的な努力と、世間の価値観に縛られず、みずからのやりたいことをまっすぐに認める強い気持ちが必要だ。実はキャリア形成の成功に必要なのは、リーダーシップなのである。

キャリア形成の「成功」とは何か

「キャリア形成」という言葉が身近なものとなって久しい。終身雇用制の是非が取り沙汰され、グローバリゼーションが進行するなか、特定の組織内で経験を積みながら、より高いポジションを目指すという従来型のキャリア形成に留まらず、国境を超えて通用するスキルや学位を得、組織の枠を超えて評価される実績を積みたいと考える人も増えている。

 ところで、キャリア形成の成功とはいったい何を指すのだろう。経営者ポジションに上り詰めることや、特定分野の専門家として認知され、高い知名度や評価、報酬を手にすることだろうか。それとも、ヘッド・ハンターなどを通して多数の企業から誘いを受け、トップクラスの企業での高位の職務を歴任することがキャリア形成の成功なのだろうか。