働き方の変化に対する
「備え」はできているか

編集部(以下色文字):『ワーク・シフト』でグラットン教授は2025年に訪れる変化を示されていますが、それはどのぐらい進展していくものでしょうか。想定したほどの変化が訪れないとしたら、何が阻害要因になるのでしょうか。

 というのも、著書を拝見して、1993年に出版された『バーチャル・コーポレーション[注]』という本を思い出したからなのですが、組織の壁を超えて個人がつながるバーチャルな働き方が提示されて20年、現実の働き方の変化は緩慢なものでした。

グラットン(以下略):緩慢な変化のように見えるかもしれませんが、働き方の変化は確実に起こっています。インド最大の財閥タタ・グループの一角にタタコンサルタンシーサービシズという会社があります。インドのITサービス企業のトップである同社では、すでに従業員のほぼ全員がバーチャルな仕事の進め方に取り組んでいます。つまり、働き方の変化はいままさに進行中なのです。ただし、国や地域によって、また同じ国でも業界や組織などによって、変化の速度が異なるのが実情です。