序文
適切なCEO後継プランは整っているか
ノール M. ティシー

 2010年9月30日にヒューレット・パッカード(HP)は、SAPの前CEOレオ・アポテカーを新社長兼CEOとして迎える人事を発表した。伝説的なテクノロジー企業であるHPの取締役会にとって、生え抜き以外の人材に経営を託すのは、この10年余りの間で3度目だった。

 これに先立って8月に、前会長兼CEOのマーク・ハードが突如として辞任していた。数々の不適切な振る舞いに対する疑念が持ち上がり、メディア報道をきっかけに批判が渦巻くなかでの出来事だった。

 論評の大半はハードの振る舞いに集中し、一方では、「取締役会の措置は厳しすぎるのではないか」という疑問の声もあった。しかし、学識者、ジャーナリスト、投資関係者たちは、この出来事が提起した最も重要と思われる問題、つまり、HPには適切なCEO後継プランが欠けていたという問題に、驚くほど無関心だった。