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株式公開で得た莫大な資産をどう活用するか
フィランソロピスト(社会貢献活動家)としての私の活動は、1998年9月、イーベイが株式公開した日に始まった。その日を迎えるまでの2週間、私は株式公開前のロードショー(機関投資家向けの会社説明会)の手伝いで各地を駆けずり回り、公開当日はふらふらになってニューヨークにあるゴールドマン・サックスのオフィスにたどり着いた。
そこで株式公開の瞬間を迎えたのだが、それは拍子抜けするようなものだった。株式を公開すれば、株式市場が開いた瞬間から自分たちの株が売買されるものだと思い込んでいたのが、実際はそうではなかったからだ。市場が開くと金融機関はまず自分たちの取引を行うので、それが終わるまでイーベイ株は売買されない。したがって市場が開いてしばらくの間、我々はトレーディング・フロアに所在なさげに立ち尽くすほかなく、フロアの人々はだれも我々に関心を持たなかった。
こうして45分ほど経った頃、だれかがフロアの壁にある株価情報の電光掲示板を見るように声を上げた。そろそろイーベイが出てくるぞ、と言うのだ。たしかにその通りだった。数分後、我々イーベイの株価情報が電光掲示板の右端から現れ、左端へと流れていった。我々は歓声を上げて抱き合い、ハイタッチをして喜び合った。