オンライン広告の現状は、転換点に近づきつつある。それは、2013年1月のメディアポストの見出しに集約されている――「オンライン広告は総広告費の25%を超える見込み 成長の半分はモバイルが牽引」。この成長に伴い、ネイティブ広告に対する興味と混乱もまた増えるだろう。パブリッシャーがデジタルにおける課金モデルを模索していくなかで、これまでの定義による広告も姿を変えていくはずだ。オンラインにおける従来型の広告フォーマット(すなわち、バナー広告やディスプレイ広告)の効果が広告主にとってますます弱まっていくなか、オンライン広告の世界は混乱が広がるばかりである。

 ネイティブ広告の定義が明確にされ、デジタル広告のフォーマットが標準化される時が来るまで、ブランドとパブリッシャーは産みの苦しみ――新たな可能性が既存の分類に当てはまらない時に起こるもの――を感じ続けることになる(アトランティック誌による、例の散々揶揄されたサイエントロジーの記事のように)。

 従来型の広告の長所は、コストと効率にあった。ひとつの広告をつくり、いくつかの媒体に(少し手を加えて)投入し、購買意欲を喚起するまで繰り返すことができた。もし広告主が個々の媒体・プラットフォームに向けて個別のフォーマットとコンテンツをつくるとなれば、予算とタイミングに多大な影響が及ぶ。同時に、ブランド側がより多くの人々にメッセージを届ける能力は、これまでと同じように問われる。最も優れた広告とは、そのメッセージが媒体のコンテクストにふさわしい形で組み込まれ、顧客にユニークでパーソナルな印象を与えるものだが、マーケターは実はそのことをわかっているのだ。

 広告業界では、ネイティブ広告がまるで真新しいもののように語られている。しかしグーグル・アドワーズも、ツイッターのプロモーションツイートも、ネイティブ広告だ。フェイスブックのニュースフィードやタイムラインにおける有料リーチも、ネイティブ広告だ。しかしこれらは、スポンサー付きコンテンツや広告記事が少し姿を変えただけであるように見られてしまっている。

 ネイティブ広告は、単に広告スペースを埋める創作物であってはならない。ユーザーの個別の体験に合ったフォーマットと、本質的に一致している必要がある。優れた広告はどうあるべきか、そして何が優れた広告となりうるか。ネイティブ広告の条件とは、理念としての美しさがを揃えるものでなければならない。

 しかしまずは、ネイティブ広告の定義を共有するところから始めよう。有料広告の未来はここにかかっている。


HBR.ORG原文:We Need a Better Definition of "Native Advertising" February 13, 2013

ミッチ・ジョエル(Mitch Joel)
デジタルマーケティング・エージェンシーのTwist Image社長。初の著書Six Pixels of Separationはビジネスとマーケティングの分野でベストセラーとなった。2013年3月にはCtrl Alt Delを刊行。