連載第6回目は博報堂ケトル・嶋浩一郎氏とPARTYのクリエイティブディレクター・中村洋基氏との対談です!中村氏が審査員を務めたモバイル部門では、携帯で社会の課題解決をしているケースが多くみられたそうです。モバイルでこんなことも可能なんだ!という、驚きと可能性に満ちたお話が満載です。

 

 カンヌの最終日。チタニウムやフィルムの審査結果が発表される日です。カンヌを振り返って、一番面白かったのが実はモバイル部門。これからの広告の可能性が一番つまった審査結果だったんじゃないかなと思うんです。今回はモバイル部門の審査員、PARTYのクリエイティブディレクター中村洋基さんにお話を伺います。中村さんは2年前にはサイバー部門の審査員も経験されています。

:今年はイノベーションライオン部門が新設されましたね。審査方法もビデオやボードの提出ではなくて直接ここカンヌでプレゼンテーションするというもの。審査員もグーグルから来た人がいたり、広告会社のクリエイティブディレクターではなくテクノロジストなどが半数くらいいました。プレゼンされた仕事も、キャッシュカードに銀行の残高を表示する機能や、ケータイ電話と電子ペーパーを融合させる企画など、テクノロジーを活用して日常生活をより便利にするアイデアが多かった。

中村:実は、モバイル部門の審査はすごく面白かったんです。ホントにモバイルというツールの可能性を感じました。

:モバイルはコモディティ化してるイメージもあるけどそうでもなかったわけだ。

中村:AKQAのイナモトレイさんが審査委員長だったんですが、あらゆるジャンルがモバイルに包含されうる、という話をしました。モバイルでこれだけ世界を変えることができるんだって、審査が終わった時に審査員一同うっとりと感動してしまうくらい。

:アワードの授賞式の時もモバイルの審査員だけノリが違ったよね。

中村:そうなんです。受賞者が壇上に上がるたびに審査員が毎回スタンディングオべーション!オレらが選んだ作品すごいだろ!って気分になっちゃって。