アップル、グーグル、イーベイ、スクエアを含む多くのテクノロジー企業は、ブランド企業がクーポン、割引オファー、ギフトカード、支払い、報酬を統合し管理するために、自社のプラットフォームに依存するようになることを望んでいる。

 アップルはひそかに、アプリの〈パスブック〉と新たに申請中の特許によって(〈iMoney〉に関する英文記事はこちら)、ブランド通貨を管理するプラットフォームを築いている。ブランド企業は注意しなければ、デジタルやモバイルのクーポン、支払い、ロイヤルティに関してアップルに頭が上がらなくなるだろう。レコード会社がデジタル音楽に、出版社がアマゾンの電子書籍に、そしてソーシャルゲーム会社がフェイスブックに対してそうであるように。

 ブランド通貨の市場が統合され成長するにつれて、ブランドは3つのカテゴリーに分類されていくだろう。

1.敗者
 一部のブランドは、クーポンやお得なサービス、割引オファー、ギフトカード、ロイヤルティ・プログラムをこれまで通りに運用し続ける。それぞれを別々のものとして扱い、モバイル技術を嫌々ながら導入する。こうしたブランドは、競争力と顧客内シェアを確実に失っていくだろう。

2.ラガード(遅延者)
 一部のブランドは遅れを取り戻そうとして、ブランド通貨が広く認知された後でベストプラクティスを採用し、テクノロジー企業や金融サービス企業が築いたプラットフォームに依存する。ゲームには留まるが、凡庸なプレーヤーにしかなれない。顧客体験をコントロールできない、あるいは顧客データに完全にアクセスできないまま、プラットフォーム・プロバイダーにマージンを奪われることになるだろう。

3.リーダー
 少数のブランドは、統合的なブランド通貨システムを構築・活用し、顧客との絆を深め、市場をリードしていく。お得なサービスや割引オファー、支払い、ロイヤルティを集約し、オンラインとオフラインを統合し、モバイルを中心に据える。第三者のプラットフォームや財布を活用するが、それに縛られることはない。その結果、自社のデータを使って顧客価値を創造し、あらゆるタッチポイント(接点)で独自のブランド体験を提供できる。顧客の利用頻度や購入額を増やし、より緊密な関係を構築し、より高次の持続可能な収益性を実現することになるだろう。

 皆さんの企業は今後、どのグループに属するだろうか。これまでの歴史や現在のトレンド、すでに投資されている莫大な金額をふまえれば、自社のブランド通貨の戦略やシステムに取り組むべき時は、まさに今である。


HBR.ORG原文:The Coming Branded-Currency Revolution July 16, 2013

 

マーク・ボンチェク(Mark Bonchek)
コンサルティング会社オービットのチーフ・カタリスト、ソーシャル・エンゲージメント戦略デザイナー。

ジーン・コーンフィールド(Gene Cornfield)
デジタル・ギフトとモバイル決済のソリューションを提供する、キャッシュスター(CashStar)のマーケティング担当バイスプレジデント。