最近、仲間意識やチームワークという言葉が上滑りしているのではないでしょうか。本当のチームワークは、ヒトより先にコトが来る組織です。起業当時、赤字続きでもポジティブでいられたのは、チームのメンバーが誇らしい人ばかりだったからです。このチームで成功しなければ、世のなかに意味のある成功などないと思ったほどです。ただし、誤解しないでいただきたいのは、あくまでコトに集中できるチームだから素晴らしかった、ということです。重要なのは、みんながコトに集中できるよう、真摯に向き合う組織をつくっていくことなのです。

ルーチンを叩きのめし
ベンチャー精神を持ち続ける

 どんなに勢いのあるベンチャー企業も、その精神を保ち続けることは至難の業です。いわゆる優等生的な人が入社を希望し、組織風土が保守的になっていく段階が来ます。

 それは当社の経営会議で最も重要なテーマの一つです。頭が悪いよりはよいほうがいい。話が通じないより通じたほうがいい。しかし、地頭のよさと、リーダーシップやアントレプレナーシップは別物です。何かをやりたくてたまらない、がんばり方が半端じゃないといった社風を大切にしているので、優等生的な人材が増えることは「要注意」のレベルを超えた重大な問題としてとらえています。会社のなかから力強いウオンツが聞こえてこなくなったら困るからです。

 当社の救いは、かなり前から本件を潜在的なリスクとして直視してきたことです。そのため、採用基準も常に見直していて、だれが面接し、どんな評点をつけ、入社後にどう成長しているかを徹底的にレビューしています。この問題意識がある限り、DeNAはDeNAらしくいられると期待しています。

 さらに、組織内にヒーローを増やすことが必要です。巨大な組織に一人ではなく、細かな事業のそれぞれにヒーローがいる組織にする。会社が大きくなっても、取り組みの単位を大きくしない。それが重要だと思います。

 DeNAは「エターナル・ベンチャー」をキーワードに、規模が大きくなっても、永久にベンチャー体質を残そうと考えています。会社のロゴを一新したのもその表れです。カラフルにしたのは、大人の会社になるより、エキサイティングでやんちゃで輝く会社でありたいという意思表明です。

 DeNAは経営の堅実さで評価されていますが、ソーシャル・ゲーム業界が受けている社会的な批判を考えれば、もっとしっかりしなければなりません。ただ、そのことと、常識に挑戦し打ち破ることは、必ず共存すると考えています。

 企業規模とアントレプレナーシップやベンチャー精神も共存しうるはずなのです。ソニーでさえ成しえなかった、世界的にも珍しい挑戦になるのではないかと思うと、ワクワクします。

 組織が成熟すると価値観が定まり、ルーチンが生まれる。DeNAはその弊害と戦っていると。

 ルーチンは叩きのめさなければならないし、個人的にもルーチン仕事が続くのは落ち着きません。ささいなことならかまいませんが、大事な会議、大事な決断、大事な資料に取り組む時は、やり方を頻繁に変える人を信頼します。同じパターンの会議が3カ月続いたら、それはやめたほうがいい。ルーチンは会議から始まりますからね。

 考えてみてください。同じ形式の会議を3カ月以上続けるのも、発言しない人が15人も会議に出ているのも非効率極まりないと思いませんか。決定者が人でなく会議体になるのも責任があいまいになり危険です。DeNAはそうしたくないと強く思っています。

 もちろん、企業には業務を効率化する使命があり、ルーチン化が進むのも必然です。ただ、同じやり方に凝り固まっていては効率化も進みません。試行錯誤なしに実現できないのです。