たとえば〈フェイスブック〉や〈ツイッター〉からログインし、決済サービスは〈ペイパル〉を利用し、ECサイトのシステムは〈BASE〉、情報の更新は〈アメーバブログ〉を使う。
こうした既存のシステムを組み合わせることによって、新しいビジネスを立ち上げるのも僕の役割だと考えています。
これから加速度的に進んでいくグローバル時代においては、世界じゅうに散らばるさまざまなタレントがさまざまなサービスを同時多発的に展開していくでしょう。
そのタレントやアイデアやシステムをうまく組み合わせて新しいものを生み出すことは、非常に重要な能力になってくると思います。
その意味で言えば、僕の強みはマッシュアッパー的な部分だと自覚しています。
マッシュアップに関連してもう一つ言うと、新しいアイデアはまったく何もないところから生まれるのではなく、フュージョン(融合)から生まれるということです。よく言われる「ひらめく」という状態も、頭のなかにあるさまざまな情報が有機的に結びついた結果なのです。
自分一人の頭のなかでフュージョンが起こってアイデアが生まれることもないわけではありません。しかし、それぞれの頭のなかでフュージョンを起こした複数の人が話をするなかで生まれる確率のほうが、はるかに高くなると思います。多くの人と建設的な話ができる能力も、アントレプレナーシップの要素の一つかもしれませんね。
多くの人は、アイデアを他人に話すと盗まれると誤解し、それが嫌で話をしないというのです。
言っておきますが、ここまで時代が進むと、まったくのオリジナルなアイデアなどというものは存在しません。複数の人が持つ情報や過去のアイデアの土台があるからこそ、新しいアイデアが生まれることを知っておくべきでしょう。
複数の人とオープンな場で語ることが重要だというのは、そのほうが新しいアイデアが生まれる確率が高まるからです。
そして最も大事なことは、フュージョンが起こってマッシュアップされたアイデアも、アイデアで終わらせてしまってはまったく意味がないということです。
やはり、アイデアが浮かんだらすぐに実行に移すべきです。新しいビジネスを生み出す人や、いまあるビジネスを拡大している人は、実行力という点で抜きん出ています。
最初にお話しした通り、昔と違っていまは起業にコストはかかりません。アイデアが浮かんだらすぐにやってみるべきです。現代はそういう時代だと思いますね。
【聞き手】 編集部
【特集:新時代のマネジメント】より 提供:日本アイ・ビー・エム