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人は何かを決める時、合理性だけでは説明できないような意思決定を行うことがある。たとえば、買おうどうか迷っていた新しいスマートフォンを、自分が尊敬している人が高評価していると、それをきっかけに買ってしまうことはないだろうか。あるいは、同じことを言っても、ある人の提案は受け入れられるが、別の人の場合は受け入れられないという場面を見たことがある人も多いのではないだろうか。人の意思決定を左右するような力、すなわち影響力を持ち、それを行使するにはどのような条件が必要なのか。本稿では、影響力を「コミュニケーションの受け手に最終的な決定権が残され、かつ自律的に判断していると意識しているが、コミュニケーションの発信者が事実上、その判断を左右させることができる力」と定義する。そのうえで、影響力の4つの特徴とリスク、そして影響力を強める方法について論じていく。
影響力とは何か
買おうどうか迷っていた新しいスマートフォンを、自分が尊敬している起業家がソーシャル・メディアで高評価していると、それをきっかけに買ってしまうことはないだろうか。取引先に提案している新しいマーケティング・プログラムがなかなか採用されずに困っていたら、突然採用が決まり、よくよく理由を聞いてみると、そのサービスのケース・スタディを意思決定者が雑誌で見たことがきっかけだったことなどはないだろうか。さらには、「部長のお嬢さんがそのサービスを知っていて」といったことが決め手だったりしたことはないだろうか。
そして、こうした合理性だけでは説明できないような意思決定は、難易度が高ければ高いほど、多いのではないだろうか。