SNSやシェアハウス、ノマドという「友だち」ブームを終わらせたい
――そもそも、本書はどういうきっかけで書こうと思ったのですか。
瀧本 最初の本『僕は君たちに武器を配りたい』は、勉強本ブームにピリオドを打った本だと自負していますが、今回はSNS、シェアハウス、ノマドといった「友だち」ブームに終止符を打ちたかった。いまのブームを終わらせるために書きました。みんな思っているよりも友達って切ないものであまり意味がないんです。
――でもブームの裏には欲求があるのでは?
瀧本 人々の親和欲求というのはいつの時代もあります。あるいは承認欲求ですね。それらを満たすために、いまの人はSNSやシェアハウス、さらに自由に働くノマドなどが求められているわけです。でも、そうじゃなくて、自分の居場所がないなら、自分で働く場所をつくろう、自分で仲間をつくろうというのがこの本なんです。
とはいえ、実はこの本は、一番読んでもらえるのは大企業の中間管理職の人でしょう。若者向けに偽装した中間管理職の人向けの本かもしれません。この世代は、マネジメントやイノベーションに関心があり、ネットワークというものを見直ししたくなる世代なんでしょう。あと既存組織の矛盾がよくわかる地位にいるんです。組織の末端で仕事していると分からなくても、階層を上がってきてその矛盾に突き当たっているんです。
――なるほど、私もこの本は読み始めると一気に読み終えてしました。
瀧本 そうなんです。「はじめに」の部分は紙の色を変えています。書店でタイトルに目を引いて、とりあえず色のついたところまで読んでもらったらレジに行きたくなるんです。あとは家で、読みだしたら止まらない(笑)。
――普通の著者の方でしたら、「そうですか、ありがとうございます」と仰います。瀧本さんは、「そうなんです」と(笑)。
瀧本 ええ(笑)。一気に読んでもらおうと一生懸命作ったからです。それがそうなれば、やっぱり嬉しいですよ(笑)。この本は誰に向けて書かれた本か一見してわからなくても、誰もが一気に読み終えてくれたら、成功ですね。