――それでも日本市場に固執し、新興国進出を躊躇していると、どうなるのでしょうか。

 新興国では、日本企業の競合が欧米企業から地場企業に移行しています。自国市場を制した地場企業が次に考えるのは、先進国市場への進出です。10年以内に、日本市場が新興国の大手企業に侵蝕される事態が訪れるでしょう。そこまで視野に入れておかなければならないのです。自分から出ていかなかったとしても、いずれロジックやコスト構造がまったく異なる新興国企業が大挙して押し寄せる。うちの顧客は日本国内だから、と言っていられないわけです。であれば、今から新興国に打って出て、相手の市場やプレイヤーを熟知しておいたほうがいい。

 すでに、新興国にはリーダー格の企業が誕生しています。そうした企業とコミュニケーションを取っておかないと、市場の荒らし合いになりかねません。あとで泣きついても遅いのです。新興国への進出には、多様な意味合いがある。日本企業の経営者はそのことを認識し、意思決定をしてほしいと思います。

 

ボストン コンサルティング グループ(BCG)
世界をリードする経営コンサルティングファームとして、政府・民間企業・非営利団体など、さまざまな業種・マーケットにおいて、カスタムメードのアプローチ、企業・市場に対する深い洞察、クライアントとの緊密な協働により、クライアントが持続的競争優位を築き、組織能力(ケイパビリティ)を高め、継続的に優れた業績をあげられるよう支援を行っている。1963年米国ボストンに創設、1966年に世界第2の拠点として東京に、2003年には名古屋に中部関西オフィスを設立。2013年12月現在、世界45カ国に81拠点を展開している。

 

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