デジタル技術の進歩が生んだ事業機会

 企業幹部は、「事業を成長させなくては」というすさまじい重圧の下にある。にもかかわらず大多数の企業では、新しい事業アイデアやビジネスモデルの探求は成り行き任せになっている。このような情けない状況をめぐって、経営学の世界ではいくつもの原因が考察されてきた。

 原因としてしばしば指摘されるのは、明快な戦略の遂行に長けたマネジャーは創造的な発想を苦手とする、というものである。くわえて、企業組織は従来の事業のやり方にふさわしくできており、新しいやり方に合った業務プロセスや評価尺度は存在しないため、素晴らしいアイデアが生まれても往々にして日の目を見ずに終わる、という説も広く支持されている。

「イノベーション・ジャムや特別合宿を行えば、みんな独創性を発揮するだろう」などと期待するよりも、体系的に事業イノベーションに挑んだほうが、勝算が高まり、期待外れに終わる可能性が低くなるのは間違いない。