「フェアネス」を軸に利益を実現する

 金融サービスの「フェアネス」(公正さ)という問題に関して、世界中で熱い議論が巻き起こっている。金融システムは、奉仕すべき一般消費者よりも金融機関のための存在になっている、と考える人が増えているのはアメリカに限らない。

 マイクロファイナンスは、恵まれない人のための資本主義の模範例とこれまで思われてきたが、この業界さえも疑問視されてきている。その結果、欧米において銀行やその他の金融機関は、今後、規制が強化されるのを覚悟している。一方、中国やブラジルなど新興市場の金融機関は、引き続き厳しい規制の下に置かれ、当面は自由競争から保護される可能性が高い。

 規制強化が叫ばれる背景には、銀行が顧客に対してフェアなままでは利益を上げることが不可能であり、法的規制や政策が介入しなければフェアネスは実現できないという前提がある。しかし、それは間違っている。銀行業はフェアでありながら儲かる事業になりうる。それどころか、フェアネスは競争力になるのだ。