素早く立ち上げ、見込みがなければ素早く撤退する──。そんな昨今の起業スタイルの逆を行くのが、スマイルズの遠山正道社長である。Soup Stock Tokyo(スープストックトーキョー)、ネクタイ・ブランドgiraffe(ジラフ)、リサイクル・ショップPASS THE BATON(パスザバトン)……いずれも軌道に乗るまでにかなりの踏ん張りが必要だったという。一見すると共通項のないそれらの事業の背後にあるのは、数字ではなく「やりたいことをやるというビジネスモデル」だった。

「やりたいこと」はビジネスとして成立するか

編集部(以下色文字):Soup Stock Tokyo(スープストックトーキョー)を皮切りに、スマイルズのビジネスモデルは、まず「やりたいという気持ち」ありきとのことですが、ビジネスと両立させるのはそう簡単ではなさそうです。

遠山(以下略):ビジネスモデルを考えるうえで最大のカギは、収益性ではありません。主語はビジネスではなく、「やりたいこと」なのです。ですが、私たちがこれまで手掛けたブランドも、初めからうまくいったわけではありません。スープストックトーキョーは、第1号店は非常に好調でしたが、利益ベースで安定したのは8年目に入ってからです。ネクタイ・ブランドのgiraffe(ジラフ)も8年目でようやく黒字化しました。