ミッション:文房具メーカーB社のビジネスモデルをデザインせよ
B社は業歴27年の文房具メーカー。学生向け文房具を得意とし、ロングセラー商品を多数もつ実力派。さらなる飛躍を目指し、長年培った企画力・製造ノウハウをいかした「ビジネス専用の文房具」を開発。専用ノート、専用ペン、専用マーカー、専用メモ、専用付箋、専用ファイル、専用ミニホワイトボードなどのラインアップを計画しています。
「事務用品ではなく、思考ツール」をコンセプトに「顧客価値(VP)」を設計中(参考文献:『考具―考えるための道具、持っていますか?』(阪急コミュニケーションズ、2003年))。ターゲットの「顧客セグメント(CS)」は、アイデア発想に困っているビジネスパーソン。現状をビジネスモデル・キャンバスとピクト図に整理したのが【図2】【図3】です。
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【図2】B社新商品のビジネスモデル・キャンバス |
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【図3】B社新商品のピクト図 |
この「ビジネス専用の文房具」を事業として成功させるためには、どのようなビジネスモデルが適しているのでしょうか? 単品販売するのか、それともセット販売するのか、あるいは「サービス」として提供するのか、さまざまなビジネスモデルが考えられます。皆さんが事業責任者だったら、どのようなビジネスモデルをデザインしますか?
私と一緒に考えてみましょう。
ビジネスモデルの「プロトタイプ」を大量につくる
それでは、実際にビジネスモデルをデザインしてみましょう。試行錯誤しながらデザインしていく作業になるので「付箋」を使うと便利です。思いついたアイデアを付箋に書き出し、ビジネスモデル・キャンバス上にマッピングしていきます。ビジネスモデル・キャンバスは Business Model Generation で公開されており、自由にダウンロードが可能です。
最初にキャンバスを埋めるのは、「顧客セグメント(CS)」と「価値提案(VP)」の2ブロックに限定することをおすすめします。「誰にどんな価値・商品を提供するビジネスなのか」集中的に考えるためです。そのときに「顧客が商品を使うシーン(=ユーザー体験)」を想像します。今回であれば、アイデアで困っているビジネスパーソンが「仕事で使う道具」ですから、専用ノート、専用ペン、専用マーカー、専用付箋などを同時に使う「ライフスタイル」シーンが想像されます。また、アイデア会議でも使いますので「グループのための思考ツール」「アイデア会議専用の文房具セット」という「価値提案(VP)」も出てくるでしょう。
次は「チャネル(CH)」と「パートナー(KP)」を検討します。従来の小売店ルートでよいのか、新しいパートナーが必要なのか。オフィスでのグループ利用を促進するのであれば、法人に強い会社と業務提携し「ビジネスパック」にするのも1つの方法です。
その次に考えるのが、「経営資源(KR)」「主要活動(KA)」「顧客との関係(CR)」。最後に「収益の流れ(R$)」「コスト構造(C$)」を検討します。この手順でアイデア発想し、キャンバス全体を付箋で埋め、ビジネスモデルの「プロトタイプ」をつくっていきます【写真1】。