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データの取得が容易になり、その活用や分析によって新たなビジネスチャンスを得られるのではないかという期待が高まっている。とりわけビッグデータの活用に注目が集まるなか、セブン&アイ・ホールディングスの鈴木敏文氏は、データはあくまでもツールにすぎないと説く。IT活用で実績のある鈴木氏はデータをどのようにとらえて活用したのか。そして、データより大切なものとは何か、その真意に迫る。
仮説を立てないビジネスなどありえない
編集部(以下色文字):ご承知のようにPOS(販売時点情報管理)は1970年代のアメリカで、レジ打ちのミスや不正防止の解消のために開発されたものです。そのPOSをマーケティングに活用しようと考えたきっかけについて教えてください。
鈴木(以下略):世の中が売り手市場であれば、商品を店頭に並べさえすれば、何もしなくても自然に売れます。ところが、消費者が豊かになってモノが一巡するとともに、世の中は売り手市場から買い手市場へと転換していきます。売れると予測した商品が売れ残ったり、期待していなかった商品が予想外に売れて品薄になったりという齟齬が生じました。売り手の立場から見れば、この齟齬が利益を圧迫する要因になってしまったのです。