ビッグデータへの投資は
なぜ効果を上げないのか

 企業は猛烈な勢いで、データ・サイエンティストやデータ・ウエアハウス、データ分析ソフトへの投資を繰り広げている。しかしながら、その多くは投資が報われているとはいえない状況であり、今後も報われない可能性がある。

 何が問題なのだろうか。まず、ビッグデータがあまりにも大々的に取り上げられてきたため、企業が過度に期待を寄せてしまっていることが挙げられる。また、アナリティクスから得られる洞察は簡単に真似することができる。ある金融サービス会社は、ビッグデータの分析を基に最適なATMの設置場所を特定するモデルを構築したが、結局、コンサルタントがすでに複数の銀行向けに同様のモデルを作成していた。

 さらに、データ・アナリティクスから得た洞察を競争優位に変えるために、企業には実現不可能なほどの変化が求められる。たとえば、ある小売業者は、値引きの前後にフロアに商品を置いておく時間を長くすれば、利益が大幅に増加すると知った。しかしそうするには、サプライチェーンを全面的に見直す必要があったので、この業者は着手するのを渋った。