4.テストし、学び、修正する
現実的な売上げ見込みが立ち、この事業機会を追求し続けようと決めたら、実行モードに移る。この際、目の前にある機会に確信があり、実行能力にも自信があるなら、上手くいくかもしれない。しかし、データやアナリティクスの事業が初めてで、曖昧な部分が多く成功への自信が持てないなら、別のアプローチが必要になるだろう。
●不安に感じる部分を選び出し、実行能力を評価するテストプログラムをつくる。不安な部分とは、たとえば以下のようなものだ。データを毎日24時間、リアルタイムで提供できるだろうか? 顧客はインタビューでほのめかした値段を本当に払うだろうか? データの配給を担当するパートナー企業は、本当に自社と協働する意欲があるのか、あるいはほかに優先する仕事があるのだろうか? こうした点は、データ商業化の成否を実質的に左右する重要な要因である。実際に事業を立ち上げる前に対処し、解決しておかなければならない。
●問題を解決できたか、あるいは実行の意思決定に寄与する学びを得られたかを判断するために、成功条件を具体的に決めておく。たとえばテストに関しては、次のような条件が考えられる。「直接セールスを行い、3カ月以内に3件の契約を確保することで、定期契約によるデータ提供事業の有効性を検証する」。「数字と種別を具体的に設定した評価指標をつくり、3カ月以内に100人のユーザーにテストと評価、改善提案をしてもらう」
●テストプログラムを実施する。その際、プログラムの責任者と実行チームの役割と責任を明確にする。理想としては、チームは小規模にとどめ、完全にプログラム専任とする。メンバーは、コンテンツに関する専門知識と、動きの速い起業家的な環境で仕事をする能力を基準に厳選する。
テストプログラムの結果を見ることで、事業を実行あるいは中止すべきか、そしてビジネスモデルや実行方法を修正すべきか、などについてヒントを得ることができる。
以上のプロセスに従えば、自社がどんなデータを所有し、それがどの程度、誰にとって価値があるのかを明らかにできる。そしてデータの収益化に関して現実的な計画をつくれるようになる。失敗の可能性をはらむ部分に関しては、テストを行ってそれを克服することで、成功の可能性を証明できる。データを既存顧客と潜在顧客のためにどう役立てればよいのか。データ事業のみによる収益性はどの程度見込めるのか。既存事業を強化する可能性はあるのか。これらを理解することで、データの価値に関する根拠なき仮定の段階を脱することができるのだ。
HBR.ORG原文:Stop Assuming Your Data Will Bring You Riches September 20, 2013
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スナンド・メノン(Sunand Menon)
ニューメディア・インサイト創設者。イノベーションに関するアドバイス、ベンチャー育成、成長戦略に関するサービスを提供する。これまでに複数のベンチャーを立ち上げ、企業の高付加価値データの創造やアナリティクス、ナレッジ事業の創造に貢献してきた。