トゥマスヤンとブラウンは、イギリスのさまざまな業界の起業家254人に、どちらの焦点を強く持つかを測るテストを受けてもらい、続いてチャンスを認識するスキルを示してもらった。実験では、履き物の5つの問題点(耐久性、履き心地、性能、スタイル、価格)に関して、実在のフォーカス・グループが寄せたコメントを被験者に読んでもらった。その後、コメントによって明らかになった問題をリストアップしてもらい、それらに対する解決方法を回答してもらった。
結果は非常に明確だった。促進焦点型の起業家のほうが、チャンスを見出す能力が高かったのだ。つまり、問題解決方法をより多く考え出したのである。さらに、それらの解決方法を別の無関係なグループに評価してもらったところ、予防焦点型の被験者たちが考案した解決策よりも革新的だと評価された。
それだけではない。起業家にとって、自分の独創性や起業家精神について自信を持つことは成功に不可欠だと考えられているが、促進焦点はそうした自信の不足さえも補ってくれるのである。あまり自信のない起業家でも、促進焦点を持っていると最高水準のパフォーマンスを発揮することができたのだ。
たとえいまは促進焦点を十分に持っていないとしても、それを強めるための、研究に裏付けられたテクニックがたくさんある。効果が大きいものをいくつか挙げてみよう。
●あなたの事業(あるいはキャリア)における目標をいくつか書き出してみよう。その1つひとつについて、成功した場合に何を得られるかをリストアップする。毎日、あるいは重要な仕事に取りかかる前に、書き出した目標と利得のすべてに目を通そう。
●5年後、10年後になりたい理想の自分を思い描いてみよう。どんな願望や野心、夢を持っているだろうか。どんな仕事を成し遂げたいだろうか。自分の理想的な将来について考えることで促進焦点を持つことができる。
●自分の過去を振り返ってみよう。最近経験した大きな成功や達成について考え、その時の高揚感、つまり最高の気分を思い出すのだ。過去の成功について考えることで促進焦点を持つことができる。
これらのテクニックのいくつか、またはすべてを使えば使うほど、自然に促進焦点型へと変われるようになるだろう。
HBR.ORG原文:How To Get Better at Spotting Opportunities May 23, 2013
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