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欧米のリーダーはインドに学べ
インドの大手IT企業HCLテクノロジーズのCEO、ビニート・ナイアは好んで波風を立てる。「5年後にも残したいものは何か」と尋ねたところ、彼はすぐさま、こう答えた。
「CEO室を壊したことです」
彼はまた、「社員第一、顧客第二」という、社員にすれば勇気づけられる標語を掲げて、これまで変革を牽引してきた。このような考え方には、大半の経営者がむずがゆさを覚えるのではなかろうか。
さらに彼は、上司とそのまた上司を評価することを社員たちに呼びかけ、だれでも閲覧できるように自分の360度評価の結果をイントラネットに掲載し、これに倣うよう強く促した。
彼の意図はいったい何なのだろうか。説明を求めたところ、「しかるべきところで、しかるべき意思決定を下す」、すなわち会社と顧客の接点を預かる社員たちが正しく判断できるよう、「透明性」を確保し、十分「権限委譲(エンパワーメント)」するためだという。
いわく「トップが現場のアカウンタビリティ(結果への説明責任)を負うよう、組織を逆さまにすれば、CEO室などいらなくなります」。
ナイアのことを生半可の理想主義者と片づけてしまうかもしれないが、HCLは、従業員数約5万5000人、時価総額240億ドルに上り、インドの驚異的な経済成長率を上回るペースで急成長している。
ナイアはやるべきことをやっており、また彼のリーダーシップは、我々がインドのビジネス・リーダーたちを1年間にわたって調査したところ、急成長を遂げるインドの大企業に見られた典型的なスタイルといえる。