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「非上場の大手企業」の代表格ともいえるYKK。世界71カ国・地域に拠点を持つ、ファスナーのトップ・ブランドである。事業規模はもちろん、非上場企業でありながら情報は上場企業並みに公開している。上場の条件はそろっているが、同社は創業者である先代の吉田忠雄(よしだ・ただお)氏の時代から、けっして上場には踏み切らない。あえて非上場を貫くその理由は何か。同社代表取締役会長CEOの吉田忠裕(よしだ・ただひろ)氏に伺った。
株は事業への参加証
編集部(以下色文字):資金調達先の多様化、社会的信用の獲得など、上場にはメリットもあります。そのうえで、あえて非上場を貫かれている理由をお聞かせください。
吉田(よしだ)(以下略):先代である私の父、吉田忠雄(よしだ・ただお)はこう考えていました。「社会的信用は、上場によってではなく、みずからつくり上げる。資金調達は増資ではなく、金融機関から借りる。信用があって金利を滞りなく支払う前提で事業を組み立てれば、資金はいくらでも借りられる。万が一資金調達に必要なコストを支払えないようであれば、そんな経営などやめればいい」