想定内ではあったが、この差はソフトウェア開発のような労働集約型の事業で顕著で、半導体業界のような資本集約型の事業では限定的だった。とはいえ、押しなべてどの業界でも、HCPの高いリーダー企業は他の競合をしのいでいた。この収益性の違いは理にかなっている。社員一人あたり売上を高めることができれば、競合他社よりもコスト水準を下げて収益性を高められるからだ。しかも、社員一人あたり売上は、売上の成長性とも相関するのである。
多くのビジネスリーダーが、社員一人あたり売上と生産性の関係を直感的に理解しているからこそ、世界中のあらゆる企業が生産性の改善に取り組んでいる。最も一般的な方法は、社員数を減らし、残りの社員で同水準もしくはそれ以上の売上をあげることを期待するものだ。しかし、そのやり方は実際にどのくらい機能しているだろうか。
リーマンショック以降、我々が議論してきた経営陣の多くが、ほんの数年の間に構造改革や組織改革、規模の適正化を何度も繰り返してきた。そして、ほとんどの経営陣がどこかのタイミングで、もはや分母を減らすことでは社員一人あたり売上を改善できないと気づくのである。そして、分子、つまり社員から得られるアウトプットを増やすことに集中することになる。
では、どうすればその分子を増やすことができるのだろうか。我々の経験によると、下記の5つの潜在的な障害を認識し、自社はどの段階にあるのかを評価することが鍵となる。
・従業員が十分な能力を有していない。社内の人材全体を俯瞰した時に、卓越した成果をあげるのに必要なスキルが総量として不足している
・優秀な人材はそろっているのだが、彼らの潜在能力を発揮させられるように配置できていない
・優秀な人材をそろえ、よいチームも組成できているが、社内の組織構造が必ずしも高いパフォーマンスを発揮できるように設計されていない
・社内コミュニケーションに非常に時間がかかるため、成果を最大化できていない(“Your Scarcest Resource”参照)
・最後に、上記には問題がないのだが、むしろ従業員エンゲージメントが低い、もしくは従業員が高いモチベーションを持っていない
あなたの周りに、あなたの時間、そしてあなたの会社の時間を無駄にしている人はいないだろうか。
HBR.org原文:This Weekly Meeting Took Up 300,000 Hours a Year, April 29, 2014.