神田 最後の質問です。先月のこと、取引相手の担当者が私の会社の担当者にひどい言葉を浴びせたことで、両社の関係がギクシャクしてしまいました。取引相手の担当者は両社の関係をリスペクトしているからこそ本心を言った、と言っているようです。相手と交渉する際に正直でありながら、建設的な結果をもたらすにはどうしたらいいですか。
ダイアモンド 私なら次のように言います。「とても興味深いご意見ですが、どう対応してよいかわかりません。なぜそんな強い口調でお話しになるのですか。正直、不愉快です」と。そこでもし相手が、男でしょ、子どもじゃあるまいし、などと言ってきたら、あなたにも感受性があるように私にもあるのですよ。他の話し方をお願いできませんか、と言いましょう。
トライと改善の繰り返しがイノベーションの本質

神田 ダイアモンド先生は本当に大人ですね。怒ったりはしませんか。
ダイアモンド もちろん怒りますよ。誰だって怒ることはあります。しかし、その状況にも学びがあるのです。ここにいる私は、30年間の実践練習の賜物です。その間には怒ったり間違ったり、いろいろとありました。
グーグル・カーを発明した人物のスライドを見る機会があったのですが、当初は提案、失敗、改善、失敗の繰り返しで、提案成功までは12回もかかったそうです。そして彼はこう言いました。「私は1回の成功に対して11倍の失敗をしたけど、最後は成功でした」。
粘り強さも必要です。最初は上手くいかないかもしれません。トライと改善の繰り返しです。どの産業問わず、これがイノベーションの本質です。
神田 先ほども申しましたが、日本は他国と問題を抱えていることもあり、先生のお話は非常にタイムリーで、いまの日本人に必要な内容ばかりでした。先生の交渉術を実践することで、いかなる争点も解決できることを確信し、また過去を捨て去り、未来に目を向けることが大事なのだと痛感いたしました。
ダイアモンド先生、本日は本当にありがとうございました。
ダイアモンド ありがとうございました。
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ビジネスでは、商談、待遇の改善要求、抗議など、「交渉」がすべてといっても過言ではない。一方、私たちの普段の生活もまた交渉の連続だ。配偶者と家事を分担したい、レストランの料理が遅い、交通違反で警官に止められた、といった場面も、実は「交渉しだい」なのである。そして、驚くべきことに、国際紛争を解決に導くのにも、子どもに歯みがきをさせるのにも、まったく同じ交渉術が役に立つ。しかも、その交渉術は誰でも学べるもの、今すぐ実践できるものなのである。世界中の企業や国家のトップが教えを請う「交渉術の権威」が、その極意を伝授。
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