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脳科学の成果は過大に宣伝されている
最近の出版物を見ると、脳科学に関するものがブームになっている。なぜこのテーマがマネジャーたちを魅了するのか、その理由ははっきりしている。結局のところ、知識経済では、知的資本がビジネスを左右するからである。
ただし、このことは知の新領域全般にいえるが、脳科学の進歩がもたらすメリットは過大に宣伝されている。たとえば、「脳の仕組みを真似れば、優れたリーダーになれる」などと、巷間いわれている。
しかし残念ながら、実際に脳の仕組みを模倣したら、ブラック・フライデー(感謝祭すなわち11月第4木曜日の翌日)の大引け数分前の証券取引所のごとく、組織に大混乱が生じるだろう。
これらの誇大広告を選り分けるに当たり、最も頼りになる人物として、発達分子生物学者のジョン J. メディナはまさしく打ってつけだ。
彼の専門分野は、人間の脳の発達に関係する遺伝子の分離と特性分析、そして精神疾患の遺伝学的研究である。民間のリサーチ・コンサルタントとして、主にバイオテクノロジー業界と製薬業界でメンタル・ヘルス関連のテーマに取り組んでいる。また、ワシントン大学医学部バイオエンジニアリング学科の客員教授を、シアトル・パシフィック大学ブレイン・センター・フォー・アプライド・ラーニング・リサーチのディレクターを務めるかたわら、『ブレイン・ルール[注1]』をはじめ、数多くの著作を上梓している。
HBR誌のシニア・エディター(当時)、ダイアン L. クーツはメディナにインタビューし、脳科学と現実のマネジメントとの関連性、とりわけストレスの脳科学と運動および認知能力との関係について聞いた。
ストレスの脳科学をひも解けば、さまざまなメリットが得られる。たとえば、知識労働者の生産性を劇的に改善し、ひいては競争優位を獲得できる。