誤解②:素晴らしい職場では、衝突はほとんど起きない

 職場での意見の不一致は望ましくない、と多くの人が暗黙のうちに考えている。衝突は人間関係の緊張の表れであり、チームメンバーの集中力を削ぎ、したがって生産性を損うものであると。

 しかし研究結果は、まさに逆を示している。意見の不一致は、より高いパフォーマンスにつながる場合が多いのだ。

 理由はこうだ。職場で起きる衝突のほとんどは、2つのうちのどちらかに当てはまる。1つは「人間関係上の衝突」で、性格の不一致や価値観の違いによるもの。もう1つは「タスク上の衝突」で、タスクをどう実行するかに関するものだ。研究によると、人間関係上の衝突はたしかに有害であるが、タスク上の衝突はむしろより優れた意思決定と財務業績につながる(英語論文)。

 グループは健全な議論を通して、より深く考え、多くの選択肢を吟味し、拙速な合意を避けることができる。衝突は不愉快なものだと多くの人は考えるが、従業員はオープンな討論によって、タスク遂行のより優れた方法を知ることで、むしろ活力を得る(英語論文)。

 グループの和を重んじて意見の対立を避ける職場は、みずからの力を弱めている。思慮深い討論が奨励される環境をつくるほうがはるかによい。

誤解③:素晴らしい職場では、失敗が少ない

 今あなたに、2つのチームを統括する任務が与えられたとしよう。着任の前に、過去1年間の両チームのパフォーマンスをまとめたレポートを受け取った。1つのデータがすぐに目に留まる――チームAは月平均で5件のミスがあったと報告しており、チームBは10件だった。より優れているのはどちらのチームだろうか。

 一見、答えは明らかに思える。もちろんミスの数が半分しかないチームAだろう。しかし、失敗が少ないことは、本当にチームの成功を測る正しい指標なのだろうか。

 ハーバード大学の研究者エイミー・エドモンドソンは1990年代中頃、ある大学病院の看護チームのパフォーマンスを調べる研究を行なった(英語論文)。彼女が予想していたのは、単純な相関関係だった。管理職と部下の関係が良好なチームほど投薬のミスが少ない、というものだ。

 しかし結果は逆だった。意外にも、管理職と部下の関係が良好な看護チームのほうが、投薬ミスの報告件数が有意に多かったのである。ただし、それは能力の問題ではなかった。ミスをした時、その事実を認め受け入れやすいという理由からだった。

 エドモンドソンの研究は重要なポイントを示唆している。最高のパフォーマンスを実現するには、まず過ちを認め、そこから学ぶ必要があるということだ。職場でそれが実践されるためには――つまり従業員が進んで過ちを認めるようになるには、安心して正直に話せる環境が必要なのだ。

 逆説的だが、職場で最高のパフォーマンスを促すには、失敗に対する新たな見方が必要だ。ミスを「絶対に避けねばならない悪い結果」と見る(つまり従業員にミスを認めづらくさせる)のではなく、「完璧」よりも「改善」を第1の目標とするべきである。