●改善不可欠なテーマを選ぶ
チームのリーダーとメンバーの両方にとって、必然性と情熱が感じられる課題でなければならない。それにより切迫感を持って学習できる。
●目標を具体的な成果と結びつける
チームがコミットする目標は、業績と学習の面で実質的な成果をもたらすものでなければならない。「商品の主要ターゲットとなる顧客50人に電話する」といった目標では駄目である。どれほど大勢の顧客に電話をしても、まったく販売につながらない場合もあるし、より効果的な販売方法を確実に学べるわけでもない。組織に利益を生まず、チームにも発見をもたらさずに達成される目標は空疎である。意欲的な社員のほとんどは、そんな中途半端な課題にはやりがいを感じないだろう。
より適切な目標とは、「新商品で10万ドルを売り上げる」という類いのものだ。こうすると、チームは販売目標達成のために成すべき活動を特定し、実行する必要に迫られる。顧客への電話にとどまらず、たとえば現行の製品・サービスの強みと弱みを迅速に評価すること、他の価値提案をテストすること、特定の顧客層に的を絞ること、商品の改良、販促材料の変更、等々が考えられる。チームは現場でリアルタイムに、適切な解決策を見つける努力をしなければならない。
●挑戦しがいのある高い目標を設定する
プロジェクトの目標は、通常よりもハードルが高いと感じられる、ストレッチしたものでなければならない。普段どおりのやり方で達成できるものでは、十分な創意工夫や能力開発につながらない。ここでの目的は、チームメンバーが「従来とは異なる行動」を取るように仕向けることだ。すなわち、新しい挑戦によって結果を出す方法を見つけさせるのである。もちろん、目標設定があまりに高すぎると、メンバーのやる気を削ぐおそれがある。難しいが不可能ではない、という絶妙なバランスを取ることが重用だ。
●短期間で行う
半年や1年先の目標を与えられると、たいていの人は切羽詰まるまで課題を棚上げにしてしまう。人間のそうした性質に逆らうよりも、期限をより短く設定すればよい。理想的なのは100日程度で完了するプロジェクトだ。100日という期間は、何か劇的なことを成し遂げるには十分だが、最優先事項にとどめておくのが困難になるほど長くはない。加えて、切迫感によって迅速な能力開発が促されやすくなる。チームメンバーは目の前の問題を素早く理解し、要領よく解決する方法を探さなければならない。
●長期プロジェクトの「第一段階」ではなく、短期間で有意義な成果が出る取り組みにする
多くの組織は、複数年にわたる事業計画を数ヵ月ごとに区切って、短期プロジェクトとしがちだ。こうしたプロジェクトでは、データの収集・統合やビジネス提案の作成などが主眼となることが多い。このように取り組みが細切れにされると、初期に学んだことをその後に活かすのが難しくなる。
他方、短期間で有意義な成果が上がるプロジェクト、たとえば特定の地域や市場、製品群を対象にした取り組みならば、ある状況下で成果を上げた後、そのソリューションの有効性を他の状況でも試すことができる。実行を重ねることでチームは経験と自信を増し、いつ、何が、どんな理由で有効なのかを学ぶことができる。それがソリューションの適応性を高めていくのだ。