成長のためのフレームワークを作る
中竹:選手やコーチが学び続けるために僕がやっているのは、フレームを作ってあげることなんです。「Good」「Bad」「Next」。良かったのはなにで、悪かったのはなにで、じゃあ次どうするか。
枝廣:Nextが最後に来るのはいいですね。いまのお話を聞きながら、自分の子供たちが小学生だった頃を思い出しました。子供たちが学校のテストを持って帰ってくると、私はすぐ裏をみるんですよ。裏紙として使えるかどうか(笑)。
中竹:あれ、点数は?
枝廣:点数ではなくて、子供たちには、今回のテストはどういうつもりで勉強したの? それでどれくらいできたの? 次はどうするの?って。点数は変えられないから、それが悪かったとか言ったってしょうがない。でもこれを続けていると、子供たちも最初から3つの質問の答えを考えるようになって、今日は何点だったけど、こういう風に自分でやって、これはこうで、次はこうするって。
中竹:僕も試合の後に振り返りをしてもらうんですが、試合がどうだったかっていうレビューは20点だと言っています。大事なのはどんなプランで戦って、その結果どうで、次どうするか。
でも、10対5で勝とうといって臨んだ試合が、結局50対40で勝ったりすると、それを狙っていたかのようなフィードバックが出てきてしまうわけです。これでは練習、ゲームプラン、試合、そして次の練習とつながっていかない。
枝廣:つながりが切れてしまうと、フィードバックが働かない。すると、どんなに練習をがんばっても成長を実感できなかったり、試合後の課題認識を間違ったりする。でも「Good」「Bad」「Next」のようなシンプルなフレームがあると、つながりを整理できますよね。
システム思考には「システム・マッピング」というツールがあって、変えたいものを中心に置いて、つながりや相互作用を図で整理していくんです。