独り言が自然と言える職場ですか?

中竹:見える化、大事ですね。システム思考を使ってみると、自分が抱えている問題の整理にもなるし、相手にも伝えやすくなる。

枝廣:よく目から鱗が落ちるって言いますよね。それって、これまでつながっていなかったものがつながった瞬間だと思うんです。

中竹:僕は見える化と同時に、言える化を大事にしていて。文字通り言えるようになることなんですが、相手が上司だろうとちゃんと言えるとか、ネガティブなことも言えるとかってハードルがちょっと高い。

枝廣:何でも言い合える関係になりましょうって、いきなりいっても無茶ですよね。

中竹:だからはじめの一歩は、みんなが独り言を自然と言えるようになること。ああ今日もう疲れたとか、ちょっとこれおかしくないって。するとだんだん、普段からネガティブなことでも言えるチームになっていくんです。

枝廣:日本人は、否定的な意見をパーソナルに受け取る傾向がありますよね。一方アメリカ人は、Hard of Facts, Soft on Peopleという考えを貫く。通訳をしていて思ったのは、国際会議などでけんか腰で議論している人たちが、休憩時間になると仲良くコーヒーを飲んでいるわけです。でも日本人だとすごく気まずい感じで、目も合わせなくなってしまう。

中竹:人の問題ではなく、システムの問題なんだという前提がみんなにあれば、お互い言い合って、みんなで考えることができる。

枝廣:あなたが、あなたの部署が、と言い出すと、敵対関係になるんですが、共有しているシステムをみんなで見ると、問題解決の質もスピードも上がっていきます。