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昇進や異動は新たなる大きな試練
昇進あるいは他部門への異動には、大きな試練が待ち受けている。着任初日から、分析力や戦略立案能力、権限委譲、効果的なコミュニケーションが要求され、リーダーとしての資質が試される。
大げさに思われるだろうか。先般、私が実施した調査の結果をご紹介したい。143人の人事担当役員の87%が「管理職としてのキャリア上、要職への移行は最大の試練である」という意見に、「そのとおり」「まったくそのとおり」と回答している。また「その移行期間をうまく乗り切れるかどうかは、その仕事全般の成否を占う重要な指標である」には、70%が「そのとおり」「まったくそのとおり」と答えている。
当然ながら、新任リーダーの成功を約束する万能策など存在しない。ただし、先の調査結果から、一定の基本原則に従えば、新たな仕事や職場に早くなじめることが示されている。
その基本原則とは、たとえば事業について学習する準備を整える、早くに確実な成果を上げる、経営チームを早急に編成して最優先課題に対処する、他部門の支援を取りつけるなどである。
とはいえ、これらの原則をどのように適用するかは、どのような事業環境に置かれるのかによって変わってくる。
たとえば、小規模の新規事業やプロジェクトの立ち上げの担当となるのか、それとも巨大な多国籍企業を率いるのか。企業を成長させるために起用されたのか、それとも他社への身売りに備えるためなのか。内部昇進なのか、それとも企業文化や社内政治の様相がまったく異なる別の会社に転職するのか等々──。
このような新任リーダーたちは、これまで役に立ってきたスキルやうまくいった戦略に反射的に頼る。何しろ要職に抜擢されたのは、これまでの成功のおかげだからである。しかし、それが間違いなのだ。
私はこの10年間、さまざまな業界や企業のビジネス・リーダー数百人が、マネジャーとして舵取りするさまを観察してきた。その結果から、マインド・セットを変える必要があることがわかった。