1.歩きながら会議をする
ニロファー・マーチャントはTED講演『ミーティングは歩きながら』でこう述べている。「近年、人々は、1日当たり9.3時間も座って過ごしています。(中略)現代では座ることが、かつての喫煙のようなものになっているのです」。マーチャントは体に悪いこの習慣に対し、歩きながらミーティングすることを提案している。そして私は、これは孤独感の蔓延に対しても効果があると考えている。
オフィスを出て同僚と歩き体を動かせば、互いの距離が近づいたような感覚がすぐに生まれる。1対1の場合は特にそうだ。さらに、歩いているときは生産性と創造性がともに高まる。神経科学者で『ブレイン・ルール』の著者ジョン・メディナは、時速1.8マイル(2.9キロ)が会議を最も生産的にする速度だという。また、スタンフォード大学での最近の研究によると、人間は歩いているときに創造性が60%も高まるという(英語記事)。建築・設計会社NBBJ(筆者がCMOを務める)の従業員はこうした知見を重視し、従来どおりに座って議題を話し合う会議の代わりに、ルートを設定した「ミーティング・ウォーク」を行っている。
2.偶然出会う仕組みを取り入れる
昼食相手をマッチングする「ランチ・ルーレット」は新しいアイデアではないが、短時間の食事中だけでも、自分の居心地の良い場所を離れて見知らぬ人と会い、新たな視点を手に入れる方法として有効である。一度でも同僚と食事をともにしたら、廊下で出会ったときに挨拶をするようになるだろうし、その新しい関係から有意義な協働が生まれることもあるだろう。従業員同士をランダムに組み合わせてもいいし、従業員自身に昼食相手を見つけるよう促してもいい。
そのためのアプリもある。イギリスの慈善団体ネスタは、従業員同士をつなげる「ランダマイズド・コーヒー・トレイルズ」(RCR)というツールを考案した。それをもとに、ニューヨークのスタートアップ企業であるスパーク・コラボレーション(Spark Collaboration)は「普通なら出会うことのない人同士をつなげ、人々の絆を生み出す」プラットフォームを開発。これにより同社は最近、新設された「北米従業員エンゲージメント賞」(North American Employee Engagement Award)を受賞している。
3.サプライズを起こす
サプライズは相手の素の状態を捕らえるため、本心からの親密な感情を引き出すことができる。サプライズ・インダストリーズ(Surprise Industries)という会社は、より多くの驚きを日常に取り入れるためのヒントや実験、そして講習までも個人・組織に提供している。「人生が最も豊かになるのは、ルーチンに変化を及ぼし、驚きを歓迎するときである」というのが同社の創設理念だ。
こうした活動はビジネス界でも注目され始めている。たとえばハンドメイド品やビンテージ品のECサイトを運営するエッツィー(Etsy)は、「普通でないビジネス省(Ministry of Unusual Business)」という秘密組織を社内に設けている。活動の詳細は一般の従業員には非公開で、日常業務のなかで嬉しいサプライズを引き起こすことを任務としている(優れた成果を上げた従業員に贈り物をするなど)。