4.「濃密な存在感」を追求する

 コンサルティング会社スライブ・ラボの創業者プリヤ・パーカーと、その夫で作家のアナンド・ギリダラダスは、「自分がここにいる、と感じる日("I Am Here" Days)」を持つ習慣を取り入れている(英語記事)。その日には10人ほどの友人たちと集まり、スマートフォンを持たずに、ニューヨーク市の一画を丸1日かけて探検して過ごすのだ。その目的は、(オンラインなどで)広く浅く存在する自分ではなく、(1つの場所を、仲間と1日中話しながら、自分の足で歩くことで得られる)「濃密な存在感」を体験することだ。

 このアイデアを仕事に当てはめたらどうだろうか。プロジェクトを進めるための会議や進捗報告に1時間を費やす代わりに、まず予定なしの丸1日を設け、何かの目的や思いついたことにみんなで取り組んでみるのである。

5.食事会を工夫する

 私とプリヤ・パーカー、および両者がメンバーを務める世界経済フォーラムの価値評議会は、共同で「15の乾杯の挨拶(15 Toasts)」という夕食会を主催している。フォーラムのサミット前夜に行うことが多いこの会合では、世界のビジネスリーダーが15人集まり、親密な雰囲気のなかで重要な課題について話し合う。ゲストはディナーを食べながら、それぞれ各回で決められたテーマに沿って話をする(「幸福」や「自由」についてなど)。

 ちょっとした工夫として、挨拶の順番が最後になったゲストは、その内容を歌で表現するのが決まりだ(誰もがそれを避けようとして積極的に話をするため、進行がスムーズになる)。あるフォーチュン500企業のCEOは、ディナーの後でこう言った。「他のゲストを誰1人知らずに参加し、帰るときには1人ひとりとの絆を感じることができたディナーは、これが初めてです」。そのCEOは翌日のカンファレンスで、前夜に会った人全員とハグさえしていた。

 チームでの昼食会や夕食会も、このような方法で刺激的なものにできる。会食を定例化し、他のグループや部門から人を招き、テーマを具体的に決めるといいだろう。

6.デリケートな話題に触れる

 このアドバイスを着想するヒントとなったのは、deathoverdinner.orgというサイトが主催する「ディナーを食べながら、死について話そう(Let's Have Dinner and Talk About Death)」という活動だ。死について話すことは往々にして、生を語り合うことに通じる、という考え方がその背景にある。何が人を幸福にするのか、そのために自分自身や自分の置かれた状況をどう変えるべきか、などもテーマとなる。

 この夕食会の主催者らは目的を次のように述べる。「難しいと思える会話を、深い絆、洞察、励ましに満ちたものへと変える、心躍る語り合いの冒険」を生み出すことだ。

 死のような重い話題を職場で持ち出すのは難しいかもしれない。では、自分のグループで「プロジェクトの死」について話してみてはどうだろうか。達成前につぶされた案件や、完了してしまい寂しいという案件について、追悼の意を込め話し合うといいだろう。

 人は、職場を含め生活のあらゆる場面で、つながりと親密さを渇望している。それは共感と寛容を生むために欠かせない源泉だ。人間関係やプロジェクト、組織がバラバラにならないよう固める、接着剤のようなものなのだ。リーダーは、つながりと親密さを強めるためにもっと努力すべきである。


HBR.ORG原文:In the Age of Loneliness, Connections at Work Matter, September 18, 2015.