アクティビスト(物言う投資家)が、米国をはじめ世界で増えている。彼らの基本的な4つの狙い、そして企業が事前に取るべき対策をナスダックのアナリストが示す。


 米国の株式市場では、この3年間で、アクティビスト投資家の人数が著しく増加した。法律事務所シュルティ・ロス&ゼイブルの「アクティビストの投資に関する年次報告書2015年版」によると、2014年にアクティビストの要求に従った企業は世界で344社に上り、2013年に確認された291社から18%も増えている。

 アクティビストに追随する動きは、投資戦略の主流として受け入れられつつある。「アクティビスト」という言葉は、もはや1980年代の「企業乗っ取り屋」を想起させるものではない。それどころか「アクティビズム」は、有効活用されていない株主の財産を最大化する、価値創造戦略だと見なされることが多い。

 この傾向を如実に示したのが、世界有数のインデックス投資会社であるステート・ストリート・グローバル・アドバイザーズの最近の発表で、同社は「アクティビストと連携することに全面的に前向きである」という。独立系資産運用会社ニューバーガー・バーマンも2015年3月、アクティビスト・ヘッジファンドのジャナ・パートナーズの株式を20%取得すると発表した。

 アクティビストの戦略が成功するのは、ターゲットとなった企業の経営陣が対応に後れを取り、混乱し、その地位を危うくするような時だ。アクティビストは経営上層部に接触する前に、徹底的なデューデリジェンスを済ませ、詳細な戦略を立てている。通常、効率と業績を上げるためなら現経営陣の入れ替えもためらわない。彼らの最終目標は、経営陣ができるだけ短期間で株主価値を最大化できるようリソースを有効活用しているかどうか、評価することである。

 したがって、上級幹部はそんな投資家に備えておくことが不可欠だ。まずは自社にどんな弱みがあるのか、それがどうアクティビストの注意を引きつける可能性があるかを客観的に評価する必要がある。次に、リーダーはアクティビストの考え方や実績、手口を知らなければならない。