最近でこそ、海外現地法人の人事制度改革を進めている日本企業は増えてきているが、まだまだ本社の人事制度に引きずられて日本的なやり方を持ち込んでいる企業も多いのが現状である。こういった状況を改善せずに放置することは、現地の優秀な人材から敬遠されるだけではなく、既に雇った人材のリテンション上も大きなマイナスになるのだ。つまり、日本企業が現地の優秀人材を獲得する上で、まず手をつけなければならないのは現地法人の人事制度、特にキャリアディベロップメント・プログラムである。現地の優秀なスタッフやマネジャーに対しては現地法人内だけでなく地域内、更にはグローバルな規模でのキャリアパスを与えることが必要となる。
「クール」でない日本企業
当研究室が2012年アジア7カ国で行った「最も称賛に価する企業」調査(図表2)によると、トップ30に入った企業の半数がアメリカ企業で、日本企業はトヨタとソニーのみであった。
トップ100入りしたアメリカ企業と日本企業の選定理由について尋ね、平均値で順位付けしたのが図表3である。やはり日本企業の特徴は、「競争力のある製品とサービス」という要因で認識されていることがわかる。品質の高い製品やサービスの提供にこだわりも持ち、それを他社との差別化要因として位置付けている点がアジアの人たちにもよく理解されているわけだ。