人気が高まる中国企業

 2000年初頭からのアジア経済の底上げを背景に地元企業の人気は上昇傾向にある。2008年より目立って人気度をあげていて、2014年時点ではすでにタイを除く8カ国で地元企業の方が日本企業より人気は高い。また、2008年の調査では対象にならなかった中国企業であるが、グローバル化を着実に進めており、東南アジアにおける人気度でも健闘している様子がうかがえる。グローバル化を進める中国企業の多くが、本国においてアメリカ型の人事制度を取り入れており、社内の制度とアジア若手エリートの価値観との親和性が高いことがその要因だと思われる。中国企業が海外でのブランディングに力を入れてきたことも奏功している。

 2015年に顕著になった中国経済の減退で、当面の間は中国企業のグローバル活動はスローダウンすると予想される。また、その飛び火で悪化している東南アジア経済を背景にアジアの地元企業の業績も当面低迷するであろう。この影響が企業の人気度にどのように反映されるのかは2016年末の調査を待たなければならないが、一つ言えることは、今が日本企業にとってアジアの優秀人材を手に入れる絶好のチャンスであるということだ。中国経済が回復し、中国企業が海外の優秀タレントの獲得に本格的に力を入れ始めると、日本企業が相当な苦戦を強いられることは推測される。

「ガラスの天井」ならぬ「竹の天井」

 今回の「出身地域別の企業人気度調査」の中で、日本企業に勤めたいというアジアの若手に対してその理由を自由記述で尋ねたところ、以下が主な理由として挙がった。

・ 高い技術が身につけられる。

・ 規則正しく、マネジメントがしっかりしている。

・ 良いキャリアになる。

・ チームワークを重視した働き方がされている。

・ 高い給料を得たいから。