シリコンバレーの新潮流として、「グロースマネジャー」という職能が台頭している。顧客の獲得、活性化、維持、アップセルに集中し、製品・サービスの成長を牽引するという役割だ。彼らの活動内容と必要なスキルとは何か。


 ほとんどの企業にとって、売上高と利益を拡大することは最も重要な目標であり、その達成に貢献する責務は全ての職能に課せられている。

 しかし、近年ではこれに加えて、テクノロジー関連のスタートアップ企業の間で「グロースマネジャー」という新たな職能が導入されている。グロースハッカー、グロース・プロジェクトマネジャー、ヘッド・オブ・グロースなどとも呼ばれ、事業の成長にのみ専念するポジションだ。

 たとえばフェイスブックやピンタレストのような先進のテクノロジー企業は、成長を促進し飛躍的な成果を達成するためのアプローチを見直す一貫として、製品開発とマーケティングは別個の部門ではなく、統合された職能だと見なすようになった。

 だがグロースマネジャーの役割は、特にシリコンバレーの外では、いまのところあまり理解されていない。我々はハーバード・ビジネススクールにおける起業研究の一環として、成長著しいスタートアップ企業のグロースマネジャー十数名にインタビューを実施。成長促進という職能を社内で機能させるために、彼らが何をしているかを探った。

 グロースマネジャーは、マーケティングと製品開発が交差する部分で活動することが多い。重点を置くのは、顧客やユーザーの獲得、活性化、維持、アップセル(上位製品の推薦)である。直属の上司は通常、CEOか、製品管理担当バイスプレジデント、あるいはマーケティング担当バイスプレジデントとなる。グロースマネジャーは成長の取り組みを策定し実行するために、エンジニアリング、設計、アナリティクス、製品管理、オペレーション、マーケティングなど複数の部門と横断的に協働する。