Airbnbが拡大し続ける都市の行く末はどうなるか。一部の都市は「次のヴェネチア」にはなりたくないと表明している。つまり、観光客向けのテーマパークに変貌して地元住民が締め出されるのは、まっぴらごめんというわけだ。

 それは杞憂ではない。ニュースサイト「フュージョン」の記者クリスティン・V・ブラウンは、アイスランドの首都レイキャヴィークを訪れた(そう、観光客として)。人口わずか12万人の小都市だが、観光客で溢れている。私が提供したデータを参考に、ブラウンは次のように記している。「同市唯一のアパート賃貸サイト(leigulistinn.is)では、レイキャヴィーク中心街の賃貸アパートはわずか9件のみ掲載されていた。市全体では22件あった」。しかし「レイキャヴィークには約5万戸のアパートがあり、そのうち5%に相当する2551戸はAirbnb物件なのだ」(英語記事

 もっと小さな地域コミュニティも、Airbnbの規模については悩まされている。たとえばジョシュア・ツリーは人口7000人の小さな町で、カリフォルニア州ジョシュア・ツリー国立公園の周縁に位置する。ここにはAirbnb物件が200件以上ある。住民のクリスティーン・フランジャーの意見はこうだ。「地元の人たちは借家を見つけるのに苦労しています。そして、休暇用の賃貸物件を増やす動きによって、自分の借家から追い出されています」

 別の住民はこう言い添える。「Airbnbと休暇用賃貸が、私たちのコミュニティを変えつつあります。いまでは休暇用に貸し出す目的で家が買われ、住宅価格が上昇しています。その結果、この地域で働いている人たちが家を購入するのは、ほぼ不可能になっているのです」

 Airbnbは都市と連携する意思があると公言するが、上記のような問題にはほとんど関心を示してこなかった。自社の事業規模の制限につながる措置には、断固反対しているのだ。