役員がプロジェクトリーダーに問う5つの視点
他にも、プロジェクトリーダーは役員から様々な点が問われている。
1.プロジェクトが成果を出す段階まで到達するイメージを持っているか
役員が注目しているのは、プロジェクトの成果が何かではなく、本当に成果が達成できそうかどうかであり、プロジェクトリーダーが達成させる覚悟を持っているかである。
2.プロジェクト計画が無謀で無いことを説明できる論理性
「覚悟」というと精神論のように聞こえるが(そういった側面も否定は出来ないが)、当然のことながら役員は論理性を求めている。ロジックがあった上での「覚悟」でないと迫力が無い。
3.プロジェクトの本質と経営課題とのリンク
先述のとおり、役員は経営チームの一員であり、経営チームは経営課題を解決することを最優先に動く組織である。役員は常にそのプロジェクトが経営課題に貢献するかという視点で見ている。
4.リーダーがいなくなった後もプロジェクトが成果を出し続けられる仕組み
ある役員は、「『ノコギリ型』のプロジェクトでは成果が生まれない」と言っていた。ノコギリの歯の形のように、熱意あるリーダーがいる時はプロジェクトが動くが、リーダーが去ると活動が止まってしまうようなプロジェクトも少なくない。最初の一歩は小さくとも、リーダーが去ってもプロジェクトが勝手に進み続ける「仕組み」があるかどうかを役員は見ている。
5.プロジェクトが失敗した時のリスクヘッジ
役員は、プロジェクトの最終責任者。失敗した時の責任を取ることが最大の仕事だと言っても過言ではない。よって、常に失敗することも想定しており、プロジェクトリーダーにも同じ視点を求めている。
しかし、多くの役員が口を揃えて「社長だけは別だ」と言う。企業のすべてを一人で背負っている経営トップだけは役員とは違う感覚を持っているので、上記の法則が当てはまらないことも多い。経営トップに対峙する時の成功の法則は存在しない。しかし、経営トップと対峙する場数の多さがプロジェクトリーダーとしての経験値を高めることだけは間違いない。
以上、3回にわたって「ファシリテーション型リーダーシップ」について書いてきた。すべての仕事がプロジェクト化するのであれば、すべてのビジネスパーソンがプロジェクトリーダーであるとも言える。そのような時代に、タスクと時間を管理するだけのマネジメント型でもなく、カリスマリーダーによるトップダウン型でもない、メンバーのやる気とクリエイティビティを高め、新しい価値創造へと導く「ファシリテーション型リーダー」が提示できたのであれば嬉しい。