シリーズ人気ナンバー1は
『クリティカル・シンキング』

――MBAシリーズ17点の中でも、売れ行きには差があります。それはある程度書いていると予測できるものですか。

 予測というよりは、やはりグロービスで1年次に教えるような基礎科目は強いなと思います。アカウンティングがあって、マーケティングがあって、戦略、ファイナンス、HR、リーダーシップ、そういった定番はやはり着実に売れると感じています。主要なテーマはほぼカバーできているので、ここから先、MBAシリーズをどのように育てていくかは挑戦ですね。読者の多い人気のテーマは、やはり時代に合わせて定期的にバージョンアップを図りたいなと思っています。若干ニッチなテーマのものをどうするかが難しいですね。たとえばシリーズにグローバル経営のものがあってもいいとも思いますが、読者がやや限定されてしまうのが悩ましいです。

 MBAシリーズは本体価格が2800円です。ビジネス書全体を見ても、1500円くらいの価格帯が多い中、2000円以上の本を買うのは読者の方にとってもハードルが少し高いと思っています。ですから、その値段を出しても読んで価値があったなと思ってもらえるテーマを展開していきたいなと考えています。20何年たっても変わらず、MBAの本といえばこのシリーズといった形で読んでいただけているので、今後もそのように思って頂けるシリーズであり続けたいなと。一方で、1500円前後のハンディなMBA関連の書籍も同時並行で出していきます。

――グロービスの知名度も本を通じて上がったという感覚はありますか。

 そうですね。特に初期は本を読んでグロービスの講座を申し込む人が多くいましたね。いまでこそ弊社のウェブ広告やホームページを通じてグロービスを知るという人が大半ですが、当時はまだ90年代。本を購入して、こういう世界があるんだと興味を持ってもらい、挟み込んである葉書や電話で連絡をいただくことが多かったですね。ネットがまだメインではない時代においては、本はプロモーションと言う意味でも、かなり重要なツールでした。