多くの大企業が、起業家精神をふたたび呼び覚まし、イノベーションを起こしたいと考えている。だが、いまある仕組みの中でそれを行うのは、ほぼ不可能である。そうした中、GEアプライアンスの取り組みは注目に値する。同社は、子会社「ファーストビルド」が果たす共創コミュニティとしての貢献を源泉に、老舗らしからぬ機敏性とイノベーション力を実現した。本記事では、その取り組みを紹介する。
多くの大企業は、起業家精神に基づくイノベーション力をふたたび呼び覚ましたいと切望しているが、実際に成功している企業はごくわずかだ。その理由は十分に解明されており、たとえば以下が含まれる。
・既存の大企業は、予測可能で堅実な決算結果を好む投資家に責任を負っているため、大胆なイノベーションに付きもののリスクを容認したがらない。
・起業家が成功するためには失敗を繰り返さなければならないが、成熟した企業で出世するためには概して、目立った失敗を避ける必要がある。
・イノベーティブな起業家はアーリーアダプター(新し物好き)を相手にするが、大企業はメインストリームの顧客を相手にする。
この他にもさまざまな理由により、大企業が「どうすれば自社は、迅速でリーンでリスクに寛容なスタートアップのように振る舞えるだろうか」と考えてもたいてい意味がない。そんなことは不可能だからだ。換言すると、この段階では別のやり方が必要なのだ。
ペースが速くてリスクにあふれたデジタル時代への適応に苦戦している伝統的大企業は、GEアプライアンスの非常に有望な試みである「ファーストビルド(FirstBuild)」に注目するとよいだろう。