米国では長らく、性的少数者への差別が所得格差を生んできた。しかし、LGBTQの受容が進む近年、ゲイ男性の所得は異性愛男性よりも「相対的にプラス」に転じているという研究結果が示された。その背景には何があるのか。
米国では、職場、家族、地域コミュニティを含む社会のあらゆる領域において、LGBTQの人々を受け入れる動きが目覚ましい速度で進んでいる。
ピュー研究所の2013年の報告によれば、LGBTQの成人の92%は、10年前よりも社会に受け入れられていると感じ、全成人の87%は、ゲイまたはレズビアンの知人がいる(1993年の61%から上昇)。2015年に連邦最高裁判所でオバーゲフェル判決が下されて以降、いまや米国中の同性カップルは合法的に結婚できる。LGBTQは、メディア、テレビ、映画に頻繁に登場し、アップル、グーグル、IBMのような大企業の経営幹部にもよく見られる。
LGBTQの人々にすれば、間違いなく「状況はよくなっていく」ように思われる。この言葉は、コラムニストのダン・サベージがLGBTの若者の相次ぐ自殺を撲滅するために2010年に開始した運動の名称だ(It Gets Better)。
しかし、このような大々的な変化が、一般的なゲイ男性やレズビアンにとって職場における処遇の改善につながっているのかについては、さほど明白ではない。たとえば、性的指向やジェンダー・アイデンティティに対して国は非差別の保障をしていない。
ここから、次のような当然の疑問が生じる。LGBTQの受容という変化は、彼らの給与にも相応の改善をもたらしているのだろうか。