「#MeToo」をマネジメント
最も頻繁に引用される学者の論文
今号で特に多くの人に読んで頂きたいのが、巻頭論文です。昨秋に始まった「#MeToo」運動とその前後のセクハラの状況変化を詳述しています。
セクハラ問題も、米国で改善の動きが大きくなった後、日本(弊誌を含めて)は追随するという流れは相変わらずですが、良い活動を取り入れて、生きやすい社会に変わるのは望ましいことです。
巻頭論文の筆者は、ジュアン・ウィリアムズ氏(カリフォルニア大学ヘイスティング法科大学院特別教授)とスザンヌ・レブソック氏(ラトガース大学名誉教授)。
この論文は、米国では発表直後から、各種メディアで取り上げられました。例えば、ニューヨークの有力ラジオ局WYNCが1月26日に、著者のウィリアムズ氏をインタビューしています。そこで彼女は、セクハラに遭遇した時の対処法などを答えています。
また、2010年にピューリッア賞受賞した「ProPublica(プロパブリカ)」も2月5日にこの論文を取り上げ、読者にセクハラに関しての経験や意見を募り、HBRと共有して対策を検討し、提示していく活動を展開しました。
ウィリアムズ氏は、『アメリカを動かす「ホワイト・ワーキング・クラス」という人々』(集英社)や“What Works for Women at Work: A Workbook”(未訳)の著者で、過去四半世紀にわたり女性の地位向上に関する議論において中心的な役割を果たしています。この分野で最も頻繁に引用される学者のトップ10に名を連ねています。
日本でも、何人もの女性から、仕事場でのセクハラの告発が続き、セクハラが蔓延する実態が明らかになっています。この流れを受けて、「どのような行為がセクハラになるのか」「いかにセクハラ文化を終わらせて行くか」、「セクハラを受けた時、どうすべきか」「セクハラを目撃した時、同僚の男性はどう行動すべきか」「反対に過剰に反応して、新たな差別などの問題を起こさないために、どんなことに注意すべきか」などについて考え、行動していく上で、ウィリアムズ氏らの論文は、多くの具体的な示唆があります。