ジェネラティブ型組織

 我々は過去1年間に、世界中のさまざまな組織のシニアエグゼクティブ150人に対して、所属組織を評価するように依頼した。評価項目は認知的多様性、心理的安全性、および所属組織が、どの程度まで課題やチャンスを予測して対応できると思うか、すなわち組織の適応力だった。

 予想通り、組織の適応力は、認知的多様性と心理的な安全性の双方と極めて高い相関性があった。適応力が高く、したがって認知的多様性も心理的安全性も高い組織を「ジェネラティブ(generative:生成的)」と称することとし、これよりもパフォーマンスが劣る組織を「反抗的(オポジショナル)」(高い多様性、低い安全性)、「調和的(ユニフォーム)」(低い多様性、高い安全性)、および「防衛的(ディフェンシブ)」(低い多様性、低い安全性)に分類した。

 また前述のエグゼクティブ150人に、組織内で多く見られる行動様式や感情を最も的確に表現する言葉を(60語以上のリストから)5つ選ぶようにも依頼した。どの行動様式がトップ・パフォーマンス・チームの一群と相関性があるか、また、ワースト・パフォーマンス・チームの一群と相関性のある行動様式はどれかを特定するため、回答に基づき、心理的安全性と認知的多様性の各レベルと、選択された言葉をマッチングした。

 下図は、最も共通して見られる行動様式として、各タイプのチームが選択した言葉を示している。

 この図表から明らかなように、ジェネラティブ型チームの行動様式は、学習、試行、および自信と関連していた。これらの行動様式が合わさって、質の高い相互関与を促進する。

 興味深いことに、ここに「強硬な」という言葉もランクインしている。一見したところ、意外に思うかもしれない。さらに詳しく調べると、チームのメンバーは、アイデアを徹底的に分析し、自信を持って主張するという行動様式を共有していた。したがって「強硬な」という言葉は、自分が重要であると考えることを自信と粘り強さを持って主張できることに関連している。

 この種の率直さが「攻撃的」と見なされずに受け入れられるのは、心理的な安全性の高い環境があってのことだ。また、ポジティブな感情が相対的に多く見られるのは、ジェネラティブ型および調和型チームであることにも留意したい。

 対照的に、残り2タイプのチームでランクインした言葉は、コントロールと制約に関連していた。これらの行動様式は、ジェネラティブ型チームにはないことがはっきりと見て取れる。また残り2タイプのチームでは、ネガティブな感情も相対的に多く見られる。