重要な行動様式

 どのような行動を取るかは、自分自身が選ぶものだ。したがって、より好奇心に満ち、探求心に富み、実験的で、育む姿勢を選ぶ必要がある。またヒエラルキーを重んじたり、指示を一方的に出したり、コントロールしたり、同調的であったりすることをやめる必要もある。

 重要なのは、ジェネラティブ型チームではポジティブな行動様式があるだけでなく、ネガティブな行動様式がない点だ。

 たとえば、ジェネラティブ型を除く3タイプのチームでは、優勢な行動様式トップ5の1つに「ヒエラルキーに基づく」という言葉が40%の頻度で挙がっている。ジェネラティブ型チームで、この言葉がトップ5行動様式の1つに挙がる頻度は、わずか15%だ。

 この理由は、ジェネラティブ型の組織構造が相対的にフラットであるからではない。ヒエラルキーは組織にはつきものだ。しかし、ヒエラルキーが組織の相互関与を決定するわけではない。

「コントロールする」がトップ5行動様式の1つに挙がる頻度は、ジェネラティブ型がわずか10%であるのに比べて、ほかの3タイプのチームでは33%だ。「指示を一方的に出す」がトップ5行動様式の1つに挙がる頻度は、ジェネラティブ型がわずか5%であるのに比べて、ジェネラティブ型を除く3タイプのチームでは24%である。

 質の高い相互関与を促進できなければ、物の見方が異なるメンバー間が対話するメリットを逃してしまう。その結果生まれるのは、深い理解の欠如、クリエイティブな意見の減少、行動へのコミットメントの低下、不安と抵抗の高まり、そして気力と幸福感の低下だ。

 心理的安全性が高い環境は、認知的多様性の底力を引き出し、さまざまな考えを持つ人々を戦略実行という波乱万丈で困難な道に向かわせる。

 チームメンバーがどのような行動様式を選択するかによって、相互関与の質が変わり、そこから生まれる文化の質が決まる。リーダーは、どのように行動するかと同じくらい、どのような行動を取らないかについても熟考する必要がある。足を引っ張る行動様式を妨げ、やめさせると同時に、新たなルーティンの確立にコミットしなければならない。

 成功を実現する土台を築くために、チーム全員が常日頃から行動や反応を通して、心理的な安全を確保し強化する必要がある。心理的に安全でない環境では、チームメンバーは、それぞれが持つさまざまな認識を表明することなどできない。

 リーダーがチームの相互関与の質の向上に注力すれば、業績と健全な幸福感は、あとからついてくるだろう。


HBR.ORG原文:The Two Traits of the Best Problem-Solving Teams, April 02, 2018.

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アリソン・レイノルズ(Alison Reynolds)
英国にあるアシュリッジ・ビジネススクールのファカルティ・メンバー。同ビジネス・スクールのリーダシップ育成、戦略実行および組織開発の分野で、エグゼクティブチームと協力している。地方自治体および経営コンサルティング会社で働いていた経歴を持つ。現在は、数多くの小企業と慈善団体のアドバイザーを兼務。

デイビッド・ルイス(David Lewis)
ロンドン・ビジネス・スクール、シニア・エグゼクティブ・プログラムのディレクター。不確実な中での戦略実行と先導に関する講座を担当。コンサルタントとして、グローバル企業の経営幹部チームにアドバイスとコーチングを提供。また、彼が共同創設したリサーチ会社は、相互関与の改善によって、個人、チーム、組織のパフォーマンスを強化するツールの開発に重点的に取り組んでいる。