コラボによる最先端技術の組み合わせが
成功の鍵を握る
――最後の提言、「コラボレーションの活性化」は、具体的にどういうことを行いますか。
保科 AIとの協働では、コラボレーションが非常に重要です。日本の製造業、ハイテク企業は、まだオープン・イノベーションに対する理解が乏しく、コラボレーションが進んでいないと感じます。しかしデジタルの時代において自社の技術にのみこだわっていては、生みだせるサービスの幅も、スピードも、競合他社、あるいはデジタル・ディスラプターに敵わないでしょう。我々自身もコラボレーションを重視しており、例えば、トヨタ、JapanTaxi、KDDI、アクセンチュア、それぞれの強みを活かした「配車支援システム」を開発しています(図4)。

自社開発にこだわっていては、企業価値も上がりません。実際、図5のように、自社開発と社外とのコラボレーションの2本立てで行く企業は、そうでない企業に比べて約2倍のスピードで企業価値を向上させています。

――コラボレーションではどんな点に注意すべきですか。
保科 世の中のインテリジェンスを組み合わせていくわけですが、今一番優れているものがずっと一番とは限らないため、常に最新のものを目利きし、切り替えていくことも重要です。最先端技術は日々更新されていきます。経営者も労働者も常に新しい知識・技術を取り込んでいくことが大切です。
経営層はもちろん一般社員も、世の中にどういうAI技術がどのようなかたちで入ってきているのかを見ながら、自分ごととしてそれがどのように使えるかを考えてみることが重要です。そして、見出した課題は一人で解決する必要はなく、むしろ様々なコラボレーションを活用することが成功の鍵を握っています。
アクセンチュアは、世界の機関・人材・知見と連携して、最新の技術や、アイデアに触れ、様々な企業がコラボレーションをしながらイノベーションを創出するための拠点として、「アクセンチュア・イノベーション・ハブ東京」を2018年1月に開設しました。日本企業の皆様にもぜひご利用いただき、人間とAIの協働のための仕組みを共に開発していきたいと強く願っています。

(取材・文/河合起季 撮影/西出裕一)